上手に換気して感染症対策!どうするのが効果的?

住まいの上手な換気方法

これからの時代、日々の暮らしに必要になるのが換気です。新型コロナウイルス対策を始め、インフルエンザなどの感染症対策としても重要な換気。窓のある部屋では、「2方向の窓を、1回、数分間程度、全開にしましょう。換気回数は毎時2回以上確保しましょう。」と首相官邸ホームページに掲載されています。
一見、簡単なように思える換気ですが、間違った方法では十分な効果を得ることができません。そこで、今回、より効果的に、そして、効率的に換気を行うためにはどのようにすればいいのか住いの上手な換気方法についてご紹介させて頂きたいと思います。

換気とは?

換気とは?

窓を開け空気を入れ替えることを換気と思っている人が多いと思います。もちろん、その考えは間違いではありません。ただし、単に換気を行えば良いというものではなく、換気の効率を把握しておくことが重要です。
換気の効率は数値として図ることができ、計算式は以下のようになります。

「換気回数」=「部屋の空気が一定の時間に入れ替わる回数」

2003年の改正建築基準法において、住宅の場合「0.5回/h」の換気が義務付けられました。そのため、24時間換気システムなどの機器が住宅に設置されるようになりました。それによって一定の換気が確保されるようになりました。とは言っても、やはり、空気中のウイルスなどを考えると24時間換気システムなどの機器に頼り切るだけではなく、積極的に窓を開け換気を行うことも大切です。
上記の式からわかるように換気の効率は換気回数で測られます。換気回数は部屋の空気の入れ替わりのスピードを表すものとなり、1時間当たりの換気回数で表すことが多く、1時間で部屋の空気が半分程度入れ替われば、0.5回/hとなります。
10回/hの場合は、部屋の空気を1回入れ替えるためには6分程度の換気が必要となる計算となります。
換気においては、難しい計算ばかり気にする必要はなく、
「回数が多いほど短い時間で空気を入れ替えることができる!」
このことを忘れず換気を行うことが大切です。

窓から換気を行う場合は、どのように窓を開ければ効果的なのか?

一般的な住宅の場合、窓を開け換気を行う場合がほとんどです。そんな時、何も考えずに単に窓を開けて換気を行っていませんか?その換気、もしかしたら、間違った換気方法かもしれません。では、効果的に換気を行う場合、どのような点に注意し換気を行えばいいのでしょうか。

【風の入口と出口を意識することが大切!】

窓を開け換気を行う際は、風の入口と出口を意識することが大切です。
窓の場合、1か所のみを開けても、そこを入口と出口にすることはできず、十分な換気を行うことはできません。1か所のみでは風の流れが上手くできず、空気の淀みを解消することが難しくなります。
それならば、2か所窓を開ければ、どの位置の窓でも良いのでしょうか?それも違います。
窓を2か所開けたとしても、その方向によっては十分な換気効果を得ることはできません。
その違いは以下のようになります。

① 同じ方向の窓を2か所開けた場合

同じ方向の窓を2か所開けた場合は、部屋の空気を十分に循環させることはできません。開けられた窓付近の空気のみが入れ替わるだけとなります。同じ方向の窓の場合、窓が開いていない部屋の奥まで風を送り込むことができず、開いた窓付近のみの換気に終わってしまうのです。

② 対面する窓を2か所開けた場合

対面する窓を2か所開ければ完璧だと思われている人も多いようですが、この方法も決して完璧な換気方法ではありません。
対面する窓を2か所開けた場合は、窓が開いた対面方向のみの空気の入れ替えとなってしまいます。そのため、対面する開けられた窓以外の場所まで十分に換気することはできません。

③ 対角する窓を2か所開けた場合

対角する窓を2か所開けた場合、これが最もおすすめの窓の開け方です。
対角する窓を2か所開けることで風が部屋中に行き渡り、部屋全体の空気の流れを作ることが可能になります。
以上のことから、同じ2か所の窓を開ける場合でも、その窓同士の方向がどれだけ重要であるかということが分かったかと思います。
ワンルームマンションなどで窓が1つしかない場合は、換気扇をうまく活用するほか、玄関ドアを少し開けるだけでも効果的に換気を行うことは可能です。
また、これだけではなく、入口と出口の大きさも意識するとより効果的に換気を行うことが可能になります。
窓を開け換気を行う場合、窓を全開にすれば良いと思っていませんか?窓を全開にすれば多くの空気を取り込むことができ、最も効果的な窓の開け方のように思えますが、実際にはそうではありません。空気には特性があり、その特性を生かすことが重要となります。空気の特性は、「狭いところから広いところに移動する際、勢いが増す!」ということになります。そのため、入口を狭くし出口を大きくすることで、より効果的に空気を循環させることができるのです。
目安としては、入口となる窓は5cm~15cm程開け、出口となる窓は全開にすることをおすすめします。

【時間帯にも注意が必要!】

「換気回数は毎時2回以上確保しましょう。」と首相官邸ホームページに掲載されているものの、留守にしているご家庭も多いのではないでしょうか。そのため、効果的に限られた時間で換気を行うためには時間帯にも注意が必要です。
換気は湿度の低い時間帯に行うとより効果的だと言われています。時間帯としては、春夏は12時~16時。秋冬は12時~14時です。限られた時間での換気しかできない場合は、この時間帯を意識してみてもいいかと思います。

換気を行う際は風向きも重要!

換気には自然の風の流れを利用することも大切です。自然の風の流れを利用すれば、より効果的に換気を行うことが可能となります。そのため、換気には風向きを意識することが重要になります。
日本での風向きは季節によって異なります。天気予報を思い出してみてください。よく、夏場は「南からの湿った風が…」。冬場は「北からの冷たい風が…」と言った言葉を耳にすることはありませんか?日本では山付近や海付近など特別な環境を除いて、一般的に、夏の風は南西から風が吹き、逆に冬は北東から風が吹いています。
そのようなことから、日本の住宅は風通しを考慮し、南側の窓を大きくし、風を取り込みやすい設計にしています。また、風を効果的に取り込むことができるように縦滑りだし窓を南の風を迎え入れるように設置している住宅も少なくありません。
では、実際に換気を行う場合、風向きのどの点を意識すればいいのでしょうか。
最も効果的なのは風向きに対して正面の窓を開けることです。風向きに対して正面の窓を開けることで、風の力を最大限に生かすことができ、35分ほどで部屋の空気を入れ替えることが可能だと言われています。一方、窓の横から風が吹いている場合は、1時間以上も空気の入れ替えにかかってしまうというデータがあります。
とは言っても、必ずしも窓の正面から風が吹いているとは限りません。そのような場合は、少し長めに窓を開け換気時間を十分に確保するといった工夫を行えば問題はありません。

人工的に換気を行いたい時には?

人工的に換気を行いたい時には?

住宅の間取り、生活スタイルなどから窓の開閉によって十分な換気を行うことが難しい場合も多いと思います。そんな時は、是非、人工的な換気を効果的に取り入れてください。

【24時間換気システムは切らないこと!】

最近の住宅は昔とは違い高気密化が進んでいます。そのため、自然な換気が難しいのが現状です。それを踏まえ2003年の改正建築基準法以降、24時間換気システムなどの機器の設置が義務付けられるようになりました。この24時間換気システムは、住宅の換気を行うために非常に重要なシステムとなります。そのため、決して、電源を切らずに利用し続けてください。電気代が気になる人もいるかもしれませんが、24時間換気システムの電気代は、一概には言えないものの、換気扇を24時間つけっぱなしにした場合でも1カ月当たりの電気代は100〜500円程度といわれています。さほど、大きな金額ではなく利用することが可能です。
24時間換気システムは回し続けることで、約2時間で部屋の空気がすべて入れ替わるように換気設計されています。そのため、窓を開けての換気が難しい人でも24時間換気システムである程度の換気効果を得ることが可能となります。
もちろん、付けておけばOKというわけではありません。メーカーによって異なるものの24時間換気システムにはフィルターなどが取り付けられており、それらを定期的に清掃する必要があります。メーカーの推奨通りにフィルターなどの手入れを行うことで、より効果的に、そして、安心して24時間換気システムでの人工的な換気が可能になります。そのほか、24時間換気システムの出入り口を家具などで塞がないような注意も必要です。

【扇風機やサーキュレーターを活用する!】

住宅環境によっては、窓が1か所しかない場合や窓を対角で開けることができない場合も少なくありません。そんな時は、扇風機やサーキュレーターを活用し人工的な換気を行ってください。
自然な風を利用することができない場合は、扇風機やサーキュレーターで部屋の空気をかき混ぜるほか、扇風機やサーキュレーターを窓に向けて風を送ることでも部屋の淀みを解消し空気を部屋の外に出すことが可能になります。もし、窓がない場合は、部屋のドアを開け窓のない部屋に扇風機やサーキュレーターを置き部屋の外に空気を押し出します。その際、浴室や洗面所、トイレなどの換気扇を利用すると、より効果的に流れてきた空気を外に排出させることが可能です。

【キッチンの換気扇も活用する!】

キッチンの換気扇でも十分、効果的に換気を行うことが可能です。キッチンの換気扇を活用し換気を行う際は、キッチンに近い窓を開けるのではなく、キッチンからできるだけ離れた場所の窓を開けるようにします。キッチンに近い窓を開けると部屋全体の空気が喚起されにくくなります。
2か所の窓を開けることができる状態でもキッチンの換気扇を活用することで、換気の手助けを行うことができおすすめです。

【住宅を建てる際は窓の位置に注意を!】

人工的な換気といっても何も機械に頼ることばかりではありません。少しの工夫で人工的な換気を行うことは可能です。換気の効果は風の入口を低い位置に設置し出口を高い位置に設置することで高めることが可能です。建物の中では、空気は上昇する性質があるためです。温度差による空気の浮力の差で起こることから「重力換気」とも呼ばれ、その空気の流れ方から「煙突効果」とも呼ばれています。
この効果を効果的に活かし換気を行うために、防犯面も考慮し夜間でも開けっ放し可能な天窓や高所窓を事前に設置しておくことをおすすめします。

【エアコンで換気は可能なのか?】

扇風機やサーキュレーターで換気を行うよりもエアコンで換気を行った方が手軽なのではないか?と思われるかもしれません。夏場や冬場など大活躍するエアコン。そのような季節は窓を開けての換気を面倒に思う場合やせっかく、エアコンで温度調節を行っているのに窓を開けるなんて、もったいない!と思う場合も多いと思います。
しかし、残念ながら、一般的なエアコンでは換気を行ことはできません。エアコンの場合、部屋の中の空気を吸い込み、冷たくしたり温めたりして再度、部屋の中に戻すシステムとなります。そのため、まったく、部屋の中と外の空気を入れ替えることはありません。
もちろん、なかには、換気システム機能が搭載しているエアコンもあります。エアコンでの換気を希望する場合は、そのようなシステム機能が搭載されているエアコンを選ぶ必要があります。
エアコン使用中、窓を開けての換気は効率的ではないと思われてしまいますが、時間を決め適度に窓を開けての換気を心掛けてください。

まとめ

以上が住いの上手な換気方法となります。
1つ1つは、さほど難しいものではありません。慣れてしまえば、毎日の習慣として手軽に行うことが可能です。是非、窓の開け方の工夫や扇風機、サーキュレーターなどをうまく活用し効果的に日々の換気を行って頂けたらと思います。

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